時事英語 ~中国の政治系インフルエンサーZiganwu~
今日はいつもと少し内容を変えて、時事英語(?)を紹介していきます。
今日紹介するのはZiganwuという単語です。
China: The patriotic 'ziganwu' bloggers who attack the West
中国の政権寄りインフルエンサーの話
Ziganwuという、中国のソーシャルメディアで中国のナショナリズム的投稿を繰り返すインフルエンサーのこと、Guyanmuchanはそのうちの一人
Ziganwuはwumao(金銭受け取って中国のプロパガンダを拡散した人々のこと urban dictionaryに記事あり)に近いが、Ziganwuはそれを無報酬でやっているという違いがある。
*参考 Wumaoのウィキペディア記事
(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%94%E6%AF%9B%E5%85%9A)
国家だけでなく“separatism”分離主義者とされる人や、台湾香港寄りの意見を持つ識者、専門家なども標的にする。実際にライターのFang Fangが標的になった
直近では医療の専門家Zhang Wenhongが中国はコロナと共生しなくてはいけない、と発言した後に政権の掲げる方針と異なるものだとしてZiganwuの標的になった。Ziganwuたちは彼の過去を調べつくして、過去の論文で剽窃があったと主張し、彼は勤務先を解雇された。
ついには、朝食に牛乳を飲むということすら「伝統的な中国の食習慣をこわす」ものだとして非難される。
Ziganwuの投稿は扇情的かつ簡潔でこの点もあり、よくばずると分析されている。Manya Koetseという中国のソーシャルメディア評論家曰く”This is fast food nationalism”と評される。"People have a bite of it, share it, then forget it."
このような最近の中国のナショナリズムをあおるような投稿は最近の米中の対立が関係している、と結論付けるのは不十分でほかにも原因がある。Ziganwuは学生時代に、anti-foreignとpro-chinise的な教育を受けてきた
加えて、中国ではソーシャルメディアが事実上中国政府に監視されているため、政権批判的な内容は迅速に削除・凍結させられるため、人の目につきづらい。反対に親政権的な内容は残りやすい。たまに、政権のほうから内容を過激化したうえで再掲することもある。これも世論がナショナリズム的になることw助長している
上述のソーシャルメディア上の言論統制があるため、インフルエンサーになろうと思ったら政権に好意的な内容をつぶやくしか身を立てる方法がない。つまり構造的にziganwuが生まれる環境になっている。人気になれば、個人のブランドを展開したり、広告収益も期待できる。政権が招聘してスピーチを行わせることもある
ただし、ziganwuが突如投稿を削除・検閲されることもある。線引きはかなりあいまいなものとなっている。
実際にGuyanmuchanも15日間weiboのアカウントが突如投稿できなくなってしまったことがあった。
まとめ
- 現在、中国のSNSでは”Ziganwu”と呼ばれる、親政権的発言を繰り返すインフルエンサーが増えている
- Ziganwuは西洋社会、中国政府と意見を異にする個人、西洋の文化(フェミニズム、人権)などを批判対象とする
- 中国にはWumaoと呼ばれる、中国政府を称揚する投稿をする見返りに報酬を受ける人がいたが、Ziganwuはこれを「無報酬」で行う、という違いがある
- 中国ではSNSが政権により厳しく監視されているため、政権批判的な投稿はすぐに削除され、反対に親政権的投稿は残るため、Ziganwuの投稿は人の目につきやすく、よくばずっている
- ↑の状況もあるため、中国でインフルエンサーになるには政府に媚びる内容でないと人気になることができないという環境があり、これがZiganwuを生む原因の一つとなっている
- 有名になれば政府からイベントに招待されることもある。
- ZiganwuもSNS統制を免れることは難しく、政権批判をしていないにもかかわらず投稿を停止させられたZiganwuもいる。
Fawn over 機嫌を取る(fawning over foreigners?)