TOEIC940朝田の英語勉強ブログ

英語学習についての備忘録ブログです。【ブログ主の取得資格】英検準1級、TOEIC(LR)940

love trumps hate の 意味(あるいは、大学受験英語の敗北)

 

 

love trumps hateという表現

この表現は2016年のアメリカ大統領選挙で反トランプ側が用いたスローガンでレディガガなどの著名人が使っていました。

 

大統領選の行く末は日本国内でも大きな注目を集め、日本でもこういった声が取り上げられてました(しかし、大抵の日本の選挙分析をしていた人はデータや統計を全く参照してこなかったため的外れな分析しかできませんでした。当選後も「隠れトランプ」とかいう謎概念を持ち出したり…)。

 

しかし、日本のニュースでは以下のように誤訳されていました

 

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誤訳しているところがどこかわかりますか?

 

 

日本のメディアはlove trrumps hateを

 

(You) love trumps hateをトランプ陣営(love trumps)は嫌いというふうな意味として受け取ったとして考えられます。こうとしか考えられません。もちろんこう考えたとしてもなんでyou~hateという形が命令文の形になっていないんだ、とかlove trumpsでトランプ陣営やトランプ派を表すのは無理筋じゃないか、他にもっといい表現の仕方あるんじゃないか、と感じると思います。

 

無理やり文構造をとると、以下のようになります。

 

 

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しかし、英文解釈を少しでもやったことがある人ならわかると思いますが、この解釈は文法的にめちゃくちゃです。

 

英文の意味を考えるときはまず文を成り立たせる条件「SV(O、C)」をまず先に考えなくてはいけません

 

主語は…Loveでよさそうです。では動詞は…?

 

実はそれがtrumpsの部分です。

 

これはtrumpという動詞が3人称単数の影響を受けて3単元のSが付いた形なのです。

 

正しくはこうなります

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trumpという動詞の意味

このスローガンの意味を正しく理解するにはtrumpという動詞の意味を知っていなくてはいけません。

 

trumpという単語にはもちろんカードの「トランプ」という意味を持っていますが、動詞で「~に打ち勝つ」という意味も持っているのです。

 

Merriam Websterから動詞のtrumpの定義を引っ張ってきましょう。

Definition of trump (Entry 2 of 4)

transitive verb

1: to get the better of : OVERRIDEwhere ambition invariably trumps loyalty— Michael Kramer
2to play a trump on (a card or trick) when another suit was led

intransitive verb

to play a trump when another suit was led

 

(https://www.merriam-webster.com/dictionary/trump)

 

1番のto get the better of となってるところが打ち勝つの意味のtrumpです。

 

 

これは少し英語をやった人ならわかると思いますが、よほど限定された形(-ly,-able)でない限り、英単語は複数の品詞で使われる、と考えたほうがさまざまな英文を読むときに有用です。

 

なぜなら、例えば名詞の意味しか知らなかった単語が動詞で使われたり、副詞で使われたりということが多々あるからです。

 

中学の英語の授業を思い出してみましょう。かなり最初のほうで、bookやlastといった単語を習うと思います。それぞれ「本」と「最後」という意味の単語として出てきます。

 

 

しかし、何年かたって高校生の授業では今度は上の動詞が何の前触れもなくbook「予約する」、last持続するという動詞として再登場します。

 

 

余計な一言

いかかでしょうか? こういう頓珍漢な誤訳を見ていると「英語は国内で生活していくのなら必要ない」とか「文系分野は必要ないみたい」な根拠の薄い文系軽視論は全く的を射ていないでないかと思います。

 

大統領選挙という国際的に注目を集めているイベントで、同じく有名なミュージシャンの掲げていたスローガンを誤った意味で解釈し(少なくとも大学受験レベルの英文解釈の誤りをして)報道して日本国内に広めてしまう、というのはメディアを名乗る資格に値しないと思います。

 

以上、余計な一言でした

 

終わりに

 

しかし、まぁ、上のような誤訳は数ある野中の一つに過ぎません。(近々ネットでよくみられる誤訳集みたいな記事でも書いてみようと思います)

 

大学受験で英語の勉強をしてきたとしてもその程度じゃ太刀打ちできない表現というのは数多く存在します。私も日々英語を勉強していますが、やはりわからない文が存在します。

 

ですが、現代ではインターネットが発達して海外の人と簡単にやり取りができるようになっているので、もしわからない単語や文があったとしてもHinativeを使ったり英会話のオンラインレッスンとか後原典に当たって文脈から意味を予測する(これ一番重要‼!)などして意味を調べることができます。

 

 

英語なんてできなくてもいい、という人がいるのは別にかまいません(私はその意見に全く賛同しませんが、もしその人たちが、自分と他人の境界が正しく理解できてない残念な性格の持ち主で、自身の個人的意見を一般論のように流布させようとした場合は真っ向から反対していきますが)が、こういった嘘のえせ翻訳みたいなのが減ることを願ってもやみません。